【教育知識】子どもの問題の事例集 実際の対応例 ロールプレイ台本

hidamari

教育知識】子どもの問題の事例集 実際の対応例 ロールプレイ台本

これまで体験した教育問題に対応した事例集です。


*全て実際の事例を元にして仮名にしたり一般化できるように編集したものです。「色々なカウンセリング的技法を活用して改善できたものです。


【パナソニック公式】最高峰モデル炊飯器と銘柄米の定期購入サービス


【事例劇】          

さぼり・暴力・変形服・深夜徘徊・喫煙 等をくりかえす中二男子、太郎(仮名)

場面1 〔授業中〕

教師1:えー、それではノートを広げてください。きちんと書き写してくれよ、後で提出してもらいますよ。

太郎: (突然、大声で)アー! ムカつく! ムカつくー!!!

教師1:太郎、うるさいぞ! なんだ突然!みんなの迷惑じゃないか!

太郎: うっせーなー! ムカつくからムカつくんだよ!!!!

教師1: いいかげんにしろ!!

太郎: なんだ、この野郎! (突然、イスを投げる)

場面2 〔太郎の母との面談〕

担任: いや~、お母さん、困りました・・・なにしろ、授業中じっとしていられないんですよ。突然大声で奇声をあげたり、ウロウロと動きまわったり、時には勝手に教室を出てタバコを吸ったりと・・・たまに下級生を呼び出して威圧したり殴ったこともありました。教師に対しても反抗的で、いくら優しく接しても、すぐ目を尖らせて暴言を吐くんですよ。正直いって私らも恐ろしく思うこともたびたびなんです。

母: (泣きながら)申し訳ありません。うちでも、よく夜中に仲間がたむろしては大騒ぎするんですよ。最近はお父さんのいうことも聞かなくなって・・・どうしようもないんで、わたしは頭が変になりそうです・・・

                                     (ハンカチを目にあてる)

担任: すごい服を着て、学校中ノシ歩いていますから、ずいぶん目立ちますよねえ。・・・おうちでは、いつ頃から落ち着きがなくなったんでしょうねえ・・・?

母:  はあ、・・・1年の1学期末に、突然へんな服を持ってきたもんですから、お父さんが怒って、ハサミでズタズタに切って捨てたんですよ。その時は面白くなさそうな顔しただけでしたが、いつの間にか、また同じような服を持ってきては隠しておくようになったんです。

    夏休み頃から夜遊びがひどくなって、夕飯も食べずに、仲間や時には上級生のうちに溜まるようになったんです。わたしがいくら言っても聞かないし、お父さんは仕事で帰りが遅いし、だんだん言うことを聞かなくなってくるし、・・・ときどき、お父さんと大喧嘩になるんですよ。でも、まだお父さんの方が力あるから・・・ 年よりも「母親が悪い」みたいなことを言うし、そんなことも私にはとてもつらいんです。でも、お父さんにとっては年よりは実の親だもんで、こんなこと話しづらいんですよ・・・(しくしく泣く)

担任:それじゃあ、お母さんも切ないでしょうねえ・・・・・・・

母: (また、泣く)・・・どうしていいか、わからない・・・こうして呼び出されるたびに、もう針のムシロのようで・・・・

担任:お母さん、いままでのやり方がうまくいかないのなら、少し別の方向から考えてみましょうか。

母: はい! もう、やれることは何でもやってみます。

担任: 変なことをいうようですが、これから思いっきり可愛がってあげませんか。というのも、どうもご両親の愛情がうまく太郎君に伝わってないように思えるんです。そんなすれ違いから生まれる「寂しさ」から、あの落ち着きの無さなんかが生まれてるように感じるんですよ。特にお父さんとの関係がうまくいってないようですねえ・・・

母:そうですねえ、お父さんは一本気な職人でとても厳しいですから・・・・実は、よく叩いたんですよ、ちっちゃい時から・・・

担任:太郎君との接触というと、叱る時だけではありませんでしたか?

母:その通りです。でも、このごろは反抗がすごくて、手を焼いているようです。わたしが甘やかすからだと、いつも責められてます・・・

担任:「力づく」の方法だけではダメみたいですねえ。それも、お父さんなりの愛情なんだろうけど・・・

   夜、うちにいなかったり、ご飯を食べなかったり、っていうのは「家がおもしろくない」という無言の抗議なんでしょうね、多分。ですから、まずは「居心地の良い家」にすることが先決のように思うんですが。

母: なるほど、そうかも知れません。具体的にどんな方法があるんでしょうか・・・?

〔 場面3 1ヶ月後の教務室 〕

教師1:・・・いや~、最近太郎は落ち着いてきましたね。今日は授業のとき、ノートをとってましたよ。初めてですよ、わたしの時間では。

担任: ほー、そうでしたか。それは良かった。

教師1:どんな指導をしたんですか?そういえば最近、変形服も着てこないようだし・・・

担任:これはねえ、お母さんが偉かったと思いますよ。実はこういうことです。

   ひと月ほど前の面談の際、とにかく「やれること」から始めましょう、ということで話をしたんですよ。

   1つ目は、食事を大切にすること。朝食も最近は「いらねー!」って拒否して、いつまでも寝ているというのですが、いくら「いらない」といっても毎朝ともかく作ってあげて、部屋の前まで届けておいたそうです。お年寄りから「そんなにして甘やかすから!」と叱られたそうですけど、「今、私ができることはこれくらいだから・・・」と、お母さん、やり通したそうですよ。

それから、遅くなっても夕飯はお父さんが帰ってきてから、親子で食べるようにしたそうです。お年よりは早くて5時頃には食べてしまうんですが・・・ちょっと時間を分けてみたそうです。そうこうしているうちに、10日か2週間ほどで夕飯を一緒にとるようになり、朝食も食べてくれるようになったということです。

   2つ目は、お父さんから頑張ってもらいました。叱るばっかり、の関係から、ある程度おとな扱いをしてやって、「男同士」の付き合い方をしてもらいました。お父さんの若い時のエピソードや、時には性についての話やら、説教ではなく、世間話程度に話してもらったんです。そんなことをしているうちに、2週間ほどで、全く夜遊びに出なくなったそうですよ。

   きのうは、「この変形服、もういらねえ。預かって・・・」と言ってわたしのところへ持ってきました。何も言わずにほっといたんですけどね・・・・・・

                                       了 

ギフト人気No.1!北国の豪華三大カニセット!

異装・孤立の中2年男子A

問題傾向: 極端な変形服、同級生の中に入れない。

経過:

○本人との面談(家庭訪問)

「小学3,4年生時はボスだった。5,6年時は逆にいじめられた。(これまでのしかえし)同級生に囲まれ、蹴られたりした事がショックであった。その頃から仲間に入れなくなった。

 中学入学後、上級生に目をつけられ変形服を買わされた。上級生も怖い、落ち着かない。授業にまったく集中できない。親にも話せない。」 

→ 担任が「お母さんに話していい?」本人「良い。」

○母親との面談(家庭訪問)

 (話を聞いて)「だめな母親だった。」と泣き出した。「真ん中の子で手をかけてあげられなかった」「同じ話を夫にもしてほしい。二人で考えていきたい・・」

方策:

  • 本人に声をなるべくかけてあげる。 ②折にふれ大人から相談をかけ、一人前として扱う。
  • 良い点を認める。 ④父親は仕事で不在勝ちなので、つとめて父親の存在感を出し、立てる。

結果: その頃からどんどん良い方向に向かい、やがてリーダー的立場に立つまでになった。仲間とも少しずつ関係が改善した。変形服も必要がなくなった。

場面1  〔学校の廊下でAと教師1のトラブル〕

 休み時間にAと教師1がすれ違う。

教師1 「おいおい、ちょっと待ちなさい。」

A   「なんだよ・・・」

教師1 「いいかげんに、そのボンタンや短らん、直してこいよ!何度注意されたら分かるんだ!」

A   「うっせーなあ・・・関係ねーだろ・・・!」

教師1 「関係なくない!そんなカッコウでウロウロされたら、学校中が困るんだよ!とにかく脱ぎなさい!」(上着を脱がそうとする。)

A   「なんだよ!このやろう!」

(もみ合いになる所へ、別の教師が止めに入る。)

教師2 「こらこら、やめなさい!・・・・・」

場面2 〔相談室にて〕

A (ふてくされた態度で無言、そわそわして落ち着かない。)

担任: 「ずいぶん突っ張ったな。どうだ、少しは落ち着いたかい。」

A : ・・・どう言われたって、おれはゼッテーこれ脱がねえからな・・・・」

担任: ・・・なるほどな・・・それはそうと、変形着ているのは君ひとりだけだね。仲間は着ようとはしないのか?

A: (吐き捨てるように)仲間なんて、いねーよ・・・

担任:ええ?それはどういうことだい。さみしくないかい・・・

A: (うつむいて、涙ぐみはじめる)

担任:授業には集中できないようだし、よく上級生から何か言われているけど、色々と困ってるんじゃないかい?

A: (ポロポロと泣き出す)

場面3 〔家庭訪問での母親との面談〕

母: ・・・いつも迷惑ばかりかけて、大変申し訳ございません・・・

担任:お母さん、そんなに恐縮しないでください。今日は苦情を申し上げに来たわけではありませんので・・・

母: 実はさっき、あの子の兄弟と口論したんですよ。「なんで学校の先生が夜来るんだ!」って嫌がるんです。私は「せっかく来てくださるには、いろいろと考えや相談があるんだし、それだけ親身になってくれてるんだから」って、やっと説得したところなんです。

担任:いやー、そうでしたか。いろいろご兄弟も気になるんでしょうねえ・・・実は先日おじゃましてあの子といろいろ話をした時、これまでの成り行きや気持ちを話してくれたんですよ。いろいろな事があったんだそうです。それで、これらのことを、うちの人にも聞いてもらったら?っていいましたら「先生から話してくれていい」というので、それで今夜はおじゃましたんです。

母: そうですか、是非聞かせてください。私らにも、どうもあの子は分からないところがありまして・・・・

担任:それでは、かいつまんでお話しますね。

   あの子は小学校の3,4年の頃にはボス的存在だったそうです。時には力で周りの子達を押さえつけたようなこともあったそうです。

    ところが、5年生の時に逆襲をくらったそうで・・・あるとき、同級生にトイレに呼び出されて周りを何人かに囲まれ、かなり蹴とばされたことがあったそうです。

母:まあ!そんなことが!!

担任:そのことが、彼にはずいぶんショックだったようですね。それからだそうです、ひとりぽっちになってしまったのは。力関係が逆転したんでしょうか、仲間に入れなくなってしまい、それが中学にきてからも続いていて、とても寂しい思いをしてきたんだそうですよ。そのうちに、変な上級生に目をつけられ、おかしな服を売りつけられたりして・・・決して欲しいわけではなかったんですが、怖くて断れなかったそうです。仲間はいないし、親にもなかなか話せないし、毎日が落ち着かない状態だったようですねえ・・・

母:(突然泣き出す)わたしがダメだったんです。だめな母親だったんです・・!やはり真ん中の子ということで、ついつい他の子に比べて手をかけないできてしまって・・・あの子の気持ちをわかってあげることができなかったんですね。先生、もう一度、夫にもこの話を聞かせていただけませんか? 二人でよく考えてみたいと思いますので。これからでも、できる限りのことをあの子にしてあげたいと思います・・・

場面4 〔 教務室で 〕

教師1: 先生、今朝あの子が「おはようございまーす」って挨拶してくれたんですよ。それにしても半年前に比べて、ずいぶん落ち着いてきましたねえ!

担任:そうですか・・・先生にはいつぞやご迷惑をおかけしましたっけねえ・・・

教師1:いやー、あんなことになってしまったんで、もう気持ちが通じなくなっちゃったんじゃないかと、何ヶ月も気になってたんですよ。でも今日はホッとしました。わたしは今朝から嬉しくてしかたないんですよ。先生、どんな取り組みなさったんですか?

担任:いやいや、特別なことはしてないんですが・・・ただ、家庭訪問であの子の気持ちを代弁して親に伝えたんですよ。両親とも賢い方で、心底から彼の気持ちを理解してくれたんです。そこで方策を相談したんです。

    それは、まず、なるべくあの子に他の子たちより先に声をかけてやること。これで、誰よりも大事にされているという感覚が育ちますからね。それから、小さなことでも折にふれ相談をかける。例えば、今日の夕飯みんなが喜ぶのは何だろうね、とか。そして良いところ、頑張ったことは褒めてあげる。もう一つ感心したのは、お父さんは仕事で不在がちなんだけど、なるべく立てるようにしたそうです。「お父さん、今日も夜勤なんだけど、よく頑張ってくれているのよ。」とかいうように、父親の存在が薄くならないようにね。

A: (突然、現れて)「話し中、すみません、ちょっといいですか?

担任: おお、びっくり・・・はいはい、なんでしょうか?

A: みんなが、来年の生徒会の生活委員長にならないか、って言ってくれるんで、やってみようかなと思ってるんだけど・・・自信ないけど、先生、応援してくれますか?

担任:ああ、いいとも!今の君なら充分やれると思うよ。頑張れ!

教師1: わたしも応援するよ! ところで、例のあの変形服はいったいどうしたの?

A: 「え? ああ、あれですか。あんなのとっくに始末しましたよ。Bが着てみたい、っていうから1000円で売っちゃいました。なくなったら清々した!

教師二人、「やれやれ」と言いながらも、大笑い



昨年だけでなんと1,500,000段販売!【グルメ杵屋のこだわりおせち】


2年女子、美香(仮名)が1年女子に圧力をかけた事例 

               ~ 傾聴を用いた対応の例 ~

〔場面1 ある日の休み時間 〕

2年女子数人が1年生の教室に突然乱入。とつぜん竹の棒でバンっと教卓を叩いて怒鳴る。

美香: おい、おめーらに話があるんだよ! 一年のくせになんでスカート上げてんだよ!なかにはリボンはずしたり、リップまで塗ってるのもいるじゃんか! ざけんな! 便所は2階使うな! そこは2年専用なんだよ! おまえたちなあ、態度でけーんだよ! 一年はなあ、大人しくしてりゃーいいんだよ! ただじゃ済ませねーぞ! ・・・

     (1年生 あ然としている)

教師1: おいおい!美香なにやってるんだ!

美香: うっせーな! こいつらふざけてるからシめてんだよ! じゃますんな!

教師1: まあ、ともかく教室出ろ!

美香: うっせー! (飛び出して、どこかに行ってしまう)

〔場面2 別の日の休み時間の教務室に 〕

教師1: (息せき切って)2年部の先生方、大変です! 美香たちがまた1年の教室に怒鳴り込むって動いてます。10人もいるんです。すぐ2階にきてください!

        (数人が、駆けつける)

教師2: どうしたんだ、お前たち!何するつもりだ!

美香: あいつら、何度言っても態度直そうとしねえんだよ!! あったまにきたから、シめる!

教師1:そんなことしちゃ、いかん! 教室にもどれ!

女子: だって、うちら、何回も注意したんだよ! それを全くきかないんだよ!ふざけんなっての!

教師2:ともかく、騒ぎを起こすんじゃない!もどれ!・・・・・・・・・

   ワーワー!ギャーギャー!

(しばらく、押し問答が続く・・・)

(教務室にもどって)

教師1: どうしましょう、もう3日もこんなことが続いてますけど・・・

教師2: いや~、どうするかなあ・・・

教師1: 2年部職員で手分けして、休み時間のたびに1年教室の方へ張り付いてますけど限界もあるし。かえって騒ぎが大きくなるようですよ・・・さっきなんか、12.3人いましたよ。

教師2: う~ん、困ったなあ・・・・

 (話を聞きつけて、)

1学年主任: みなさん、お手数かけて済みませんね・・・

教師2: いやいや、こちらこそご迷惑をおかけして・・・

主任:1年の中にもちょっとナマイキ者がいますんでねえ。美香たちがカッカするのも分かるような気がするんです。

教師2:いやいや、そうだとしても、こんなこと許しちゃいけませんよね。1年がかわいそうです。

主任: どうも。 ところで、美香たちのエネルギーのガス抜きが必要な気がするんです。それで、私がちょっと話を聞いてもいいですか?

教師2:はあ、それはかまいませんが・・・

主任: じゃあ、美香にちょっと声かけてみますね。

〔場面3 放課後の廊下で 〕

主任: おお、美香ちゃん、ちょっとちょっと。

美香: (不機嫌そうに)なんですか。

主任: きみたち、1年生にいろいろ不満ありそうだなあ。

美香: ある、なんてもんじゃネーよ。

主任: そっかあ。おれは1年の学年主任としてさ、きみらの言い分も聞きたいと思ってさ・・・

美香: せんせー、しっかり指導しろよ。なに、今年の1年の態度は!

主任: ははは・・・すまんなあ。どうだ、そこの研修室が空いてるから話きかせてよ。

美香: うん、いいよ。ルミと里子も一緒でいい?

主任: ああ、いいよ。連れといで。

〔場面4 研修室で 〕

主任: みんな来てくれてありがとうな。さて、君たちの言いたいことをオレに聞かせてくれよ。きっとそれなりの言い分があるだろうからさ。

ルミ: ほんとに言っていいの?

主任: おお、まずは聞くよ。本音でどうぞ。しかったりしないから。

ルミ: じゃあ、言うよ。女子のスカート直させて。リボン詰めるの、やめさせて。ピアスもしてこないようにして、脱色してるのもいるし・・・・

主任: なるほど、そういう子がいるんだな。

里子: いるなんてもんじゃないよ。まだ1学期だよ。それなのに、もうやってるんだから、ずうずうしいよ! 憎たらしい!

主任: 言わせてもらうけど、きみたちもそうしてるじゃん?

美香: あたしたちは、2年になってから始めたんだよ!何いってんの!?

主任: なるほど。なんで1年の時はしなかったの?

ルミ: 先生方、かなりうるさかったじゃん!わたし、毎日担任に文句言われてたよ。ちょっとのことでサ。目をつけられてた!

里子: それに、あたしたちの上の人たちから、えらい怒られたんだよ! あたしなんか、トイレで囲まれてさ・・・ルミも美香もあったよね?

主任: ああ、そう! そんなことがあったの。怖かったろう・・・!?

里子: (涙ぐんで)そうなんだよ。それで、ずっとガマンしていたんだよ。それなのに、今の1年は今からもう、あんなことして・・・

主任:ああ、そうか。悔しいのかな? 自分たちができないことをしていることが・・・

美香:(うなづいて)私たち、あんなに我慢してきたのに! 許せない! (シクシク泣く)

主任:そうかあ・・・そういうことだったのか・・・なるほどなあ・・・・

ルミ:それにさあ、コバヤシ先生ってさあ、ひいきだよねえ・・・

里子:そうそう、わたし達にはイジョーに厳しくて、3年の自分の部活の人には注意しないんだよ・・・

美香:そうそう、うんうん、タナカ先生もさあ・・・・

主任:なるほど、なるほど・・・それで?・・・・・

  (などと、教師や親への不満もふくめて、とりとめない話が1時間ほど続く)

主任: さて、いろいろと本音を聞かせてもらってよかったよ。君らの気持ちはよく分かったよ。

美香: せんせー、1年どうする?

主任: うーん、今すぐには返事できないけど、よく考えてみるよ。ところで、今日みたいな騒ぎになると、君たちが、みんな悪者になっちゃうんじゃないか?

里子: うん、そう思う・・・

ルミ: そんなのやだよね・・・

主任: だろう。それでさ、また、腹の立つことがあったら、オレが苦情受付係になるからさ、だからムカついたらオレに文句言いにきたらどうだろう? なるべく時間とってあげるから・・・・

里子: うん、いいよ。

美香: 分かった・・・

 (この日は、それで落ち着いて帰った。翌日から、とりあえず、1年教室への殴りこみは収まった。)

  • その後、約束どおり、不満がたまると、主任のところへ、「ちょっと、先生聞いて!」とやってくるようになった。研修室で時間をとってやった。時には3時間近く話すこともあった。なるべく傾聴に努めた。4~5回そんなことが続いた。
  • 話の内容はしだいに学習・進路の不安、家庭の問題へ移っていった。親への不満が主となり、泣きながら話すこともあった。根本的には親子関係、家庭のストレスがあるものと思われた。受容的にきいているうちに、1年への攻撃は収まり、個人的な問題の取り組みの方へ動いていった。

みよ子がはる子をいじめた事例 中2女子(仮名)

                     ~ いじめの事例に傾聴法を活用して対応した例 ~

〔 場面1 ある日の夕方 電話がくる 〕

母:(激怒して)うちのはる子が、いじめにあってるんですけど、先生方、知ってるんですか?!

教師: えー?! いや~、それは知りませんでした。申し訳有りません、初耳です・・・

母: 何やってるんですか!毎日毎日、いやみを言われたり、仲間と一緒になって無視したりと、ひどいことになってるんですよ!!

教師:なるほど、それは大変だー! 電話ではなんですので、直接お話を聞かせてほしいんですが・・・?

母: いいですよ!

教師:今夜お宅にお邪魔しましょうか、どうしましょう?

母: いえ!お父さんと2人で学校にいきます!

教師:それはわざわざすみません・・・では、7時ということで・・・・

〔場面2 その夜、学校の応接室で 〕

母:(噛み付くように)うちの子は今、まったく独りぼっちなんですよ!毎晩家で泣いてるんですよ!それを知らなかったとは、なんですか!

教師:いやー、ほんとに申し訳ないです。

母: 何を見ているんですか!まったく・・・!

教師:お母さんのおっしゃる通りです。目が行き届きませんでした。でも、さすがに親御さんですねえ!本人が、つらい気持ちを打ち明けたんですねえ・・・

母: そうですよ!もう学校に行きたくないって毎日訴えるんですよ。

教師:そうですかあ・・・親としては、とっても心配ですよねえ・・・!

 (面談に入っても、母親は興奮気味。一方的にまくしたてるので、何を言ってもだめだろうと聞くことに徹する。この間、父親はほとんど発言なし。約1時間後、言いたいことをいいきり、次第に母親の興奮が収まり、穏やかになってきた。)

教師:・・・いろいろと率直にお聞かせいただいて有難うございました。いじめの様子やお気持ちは、よーく分かりました。それで、これからどういたしましょうか・・・直接、相手の子を明日にでも指導いたしましょうかねえ・・・・・・?

母: ・・・いえ、もう少し様子をみようかなあ・・・・学校でもよく見ててくださいね。お願いします。

教師: そうですか・・・わかりました。・・・・

〔場面3 翌日の放課後 静かな相談室で 〕

(やはり気になるので、直接、加害者のみよ子に話をきくことにした。これまで何度か話す機会があったし、普段の関係は悪くなかった。)

教師:部活があるのに、呼んで悪かったね。実はちょっと気になる話を耳にしたんだけど・・・

みよ子:えへへ・・・はる子のこと・・・?

教師: なーんだ、分かってたのか。実はそうなんだよ。ゆうべ、はる子の両親がきてね、とても心配だって・・・ きみにどう話そうかと悩んだけど、君から正直に言ってくれて助かったよ、ありがとうな。それで、先生としては、ただ「みよ子が悪い」って決め付ける前に、きっと君にも言い分があるだろうから、まずはそれを聞かせてもらおうかと思ってさ・・・それが公平というもんだろ?

みよ子:(身を乗り出して)そうなんだよ!あたしだって、今までいろいろされたんだよ!聞いてくれる~?

教師: そっか、聞く聞く!

みよ子:だいたいさ、初めは向こうからやってきたんだよ。あたしだって、去年はずされたんだよ!

教師: そう、そんなことがあったんだ!?

みよ子:そうだよ~、大変だったんだからあ・・・!

教師: 大変だったんだ~・・・! それで?

みよ子:「脅迫状」もしょっちゅうきたしサー!

教師: 脅迫状! 「ぶっ殺す」とか・・・?

みよ子:そうそう! あたしが1年の時なんか、なんて言われたか知ってる?

教師: 知らないけど・・・すごい傷つくこと言われたの?

みよ子:そうそう! スッゲー傷ついた!

教師: そうかあ、傷ついて切ない思いをしたんだなあ・・・?

みよ子:そうだよー、大変だったんだから・・・・!

教師: 大変だったんだねえ。君たちの世界もいろいろとあるんだねえ・・・生き抜くのは大変だ!

みよ子:そうなんだよ、先生。疲れるよ、ほんと・・・・

教師: そうだろうなあ、それじゃ、疲れるだろうなあ・・・

 (約1時間半ほど、傾聴に徹した。その間、いろいろな話も聴けた。反論や指導はとりあえず控え、本人の気持ちの受容に努めた。)

教師: ああ、もう1時間半もたっちゃった。いろいろと聞かせてもらって良かった、助かったよ。みよ子にもたくさんの言い分や事情があるということがよく分かったよ、ありがとう。もう下校の時間だし、そろそろ終わりにしようか・・・?

みよ子:うん

教師: そうそう、ところでサ・・・・はる子の件、・・・どうする?

みよ子:(ちょっと恥ずかしそうに)うふふ・・・もう、やめる・・・

教師: そうか・・・それがいいね。じゃ、バスの時間だ、さよなら!

みよ子:はーい、さよならー!

 (実際、その後いじめ行為はなくなった。その後はる子の親からも何も抗議はなかった。数日後こちらから電話を入れてみたが、「はる子は、この頃なにも言わなくなりました・・・」と母親は答えた。)

「応援してよ、お母さん!」  親と仲間の板ばさみで悩む子中2女子 

概 要
 バレー部にキャプテン良子は、大変頑張っているのだが、親は部活よりも勉強の成績が気になっている。ある大会の日にそれがもとでトラブルが発生。良子は親の期待と仲間との板ばさみ状態になってしまい、精神的に不安定になり、また成績も不振となる。しかし、親が本人の気持ちをよく理解し応援してくれるようになって、事態が好転し、成績も目覚しく向上した。

原因と思われるもの(仮説)
 子どもの成績を焦る親と、仲間と共に部活に燃えたい良子との気持ちのすれ違い。現時点で本当に打ち込みたい事を理解してくれない親に不満を持ちながら、それをうまく伝えられない苛立ちから結局なにもかもうまくいかない状態に落ち込んでしまう。

場面  1 日曜日、あるバレーボール大会から帰ってきたばかりの学校の教務室で。

顧問: いやー、ずいぶん遅くなってしまいまいたね。もう7時過ぎだ。日が短くなったなあ。   もう真っ暗ですね。  

副顧問: そうですね、でも優勝できてうれしいですね!    

顧問: ええ、特に良子がよく頑張りましたね。スパイクもレシーブもよく決まりましたねえ。 毎日、よく練習しましたもんね。ほんとにバレーが好きなんだなあ、あの子。     

  プルルルル・・・・・(電話)

顧問: おや、今頃だれだろ? 日曜日だってのに・・・・ もしもし?・・・  

良子の母:(強い調子で)先生ですか?! うちの子、今頃帰ったんですけど、どうしてこんな に遅くなるんですか?! 家を出たのが6時半ですよ。そして帰りが7時だなんて。 ちょっと異常じゃありませんか?!  

顧問: いやいや・・・遅くなっちゃってご心配かけました。決勝戦までいったもので。しか も接戦で・・・でも、よく頑張ってくれたんですよ。    

母: それにしても遅すぎますよ!心配してるんですよ、家では!!!  

顧問: 申し訳ありません、一応、会場から遅くなるって電話させたんですけどね・・・  

母: それだって、5時半ころじゃないですか! だいたい、どうして日曜まで部活させな きゃいけないんですか?!  (かなりの剣幕で批判が続く・・・)

場面2 ~2日後の教務室にて~

副顧問 : おとといの良子の母親、すごい剣幕でしたねえ! 大会で優勝して帰ってきて怒られたのは初めてですよ。(苦笑)

顧問: そうですね。どうも、部活よりも成績の方が気になるらしくて・・・ 一度、試合の様子でも見にきてほしいと願っ     てるんだけど、なかなか来てもらえなくてね。一度見れば、きっと娘の頑張る姿に感激してくれて、部活の価値も理解してくれるんじゃないかと思うんだけど、なかなかねえ・・・・  

副顧問: 良子も最近不安定ですよね。表情も暗いし、時々あの子にしては、って思うような反発的な態度をとることもあるし・・・ おや、良子がやってきましたよ。   
(良子がやってくる)

良子: 先生、今度の日曜の練習試合、休ませてください。  

顧問: え!? どうして?! きみはキャプテンで、しかもエースアタッカーで、いなければチームがボロボロになっちゃうだろう! 何か理由があるのか?  

良子: (言いにくそうに)・・・実は塾のテストがあるんです。  

副顧問: 大会がもうすぐなのに・・・きみがいないと、チームの力は半減だな。練習試合の価値がないし、他のみんながせっかく日曜をつぶす意味がなくなるよ。   なんとか、テストの日は変えられないのか?  

良子: わたしだって、出たいんだけど!・・・・(手で顔をおおって泣き出す)  

顧問: ・・・そうか、困ってるんだな。よしよし、とりあえず話を聞かせてくれるかい?・・・・

場面3 ~1週間後のバレー部の保護者会で~

顧問: ささ、良子さんのお母さん、一杯どうぞ! (ビールを注ぐ)  

母: あら、どうもすみません、いただきます。  

顧問: この前は帰りが遅くなってしまい、ご心配おかけしました。  
母: いえ、・・・わたしもちょっと言い過ぎまして、失礼いたしました。  

顧問: いや~、はっきりおっしゃってもらった方が、物事が進んでいいもんだと思ってますので。 ところで良子さんのことで、ちょっと心配なことがありましてねえ。  

母: マア、なんでしょう?  
 
顧問: いえね、この前の練習試合、参加できないと言ってきたんですが・・・  

母: (きっぱりと)はあ、大事なテストがあったもんですから、休ませていただきました。                                              

顧問: その時に大泣きしましてね・・・ 話を聞いてみましたら、実は参加したいんだと言うんですよ。仲間は「一緒に最後まで頑張ろうね」って言うし、でも、お母さん達の期待も裏切りたくないし、その板ばさみになって、どうしていいか分からない、とても苦しいんだ、って・・・  ずいぶん泣きながら打ち明けてくれました。  授業中も、実は様子が変で、なにかいつもイライラした感じで言葉ずかいもちょっと荒っぽくなったりと・・・  

母: まあ、そうなんですか・・・実は家でもずいぶんツンツンしてまして・・・何かにつけ、口答えするんですよ。お父さんと「どうしたんだろ、最近?」って不思議に思ってたんです。成績も上がるどころか、下がり気味だし・・・部活が負担なら辞めたら?って言ったんですが、それから3日間、わたし達と口きかなかったんですよ。  

顧問: ねえ、お母さん、どうも今のままでは、あの子にとっては良い状況ではないようですねえ。なんとかしてあげませんか・・・?  

母: ええ、・・・そのようですねえ・・・どうしましょうか・・・?  

顧問: まず、あの子が今何を一番がんばりたいのかを理解してあげたらどうでしょう? 顧問だからって言うわけではないんですが、やはり今は悔いの残らないように部活を仲間とやり遂げたいと友達に言ってるそうなんですよ。まずはそれを応援してあげたらどうでしょうか。3年生の1学期まで、あと半年なんですが・・・・  

母: はあ、でも勉強は大丈夫でしょうか・・・・?  

顧問: やりたいことを精一杯やれれば、学習も自然とやるようになるものですよ。ところが、不完全燃焼のままで、欲求不満を持っていると勉強にも身がはいらないものです。  そうそう、どうですか、一度練習や試合を応援がてら見にいらっしゃいませんか。ちょうど今度の日曜日、うちの体育館で練習試合ありますから。  

母: はあ・・・分かりました。行ってみましょうかねえ・・・・  

場面4   ~ 2,3ヶ月後の教務室で ~  

良子の担任: (顧問に)3学期期末テストの結果が出たんですが、良子の成績の伸びがすごいですよ!     ほう、そうですかあ。生活の様子なんかはいかがですか?   いや~、とてもさわやかな顔してますよ。係活動も大変積極的だし、クラスでは頼りになる存在ですよ。部活のほうはどうです?    

顧問: ええ、一生懸命がんばってますよ! あれ以来、お母さんだけでなくお父さんも弟もしょっちゅう応援に来てくれるし、ずいぶん一家でバレーにハマっちゃいましたよ。  

担任: でも、家では相変わらず勉強、勉強!ってしごかれているんじゃないですかねえ? こんなに成績があがるには、かなり・・・・・  

顧問: いえいえ、夕飯時なんかは「今日のあのプレーは良かったね」なんてバレーの話題で盛り上がっているそうですよ。親子関係もずいぶんイイ感じになったようです。  

担任:へー、おもしろいもんですねえ・・・ なにしろ今回のテストでは一気に30番以上順位をあげましたからねえ・・! 本人は勉強が面白くってしかたないって言ってますよ。部活も勉強もよくがんばるなあ、って言ったらニコニコしてました。もうすぐベスト10に入りますよ、この子は。                    

顧問: いやー、楽しみですね !

                                                    

大人しい女子を攻撃し、孤立させる中1女子 (いじめ)

問題行動:特定の女子の同級生に対し、いやみ、陰口を繰り返し、「仲間はずし」をする。   原因と思われること:不安定な家庭生活からくる欲求不満   対策:欲求を満たしてやれば、意地悪い気持ちがなくなるであろう、と仮説を立てた。  

〔 場面1 下校時間も近い、放課後の教務室 〕

ひろ子(仮名): (泣きながら)先生、また意地悪言われました。もう学校来るのいやです・・・

担任:おや、またかあ!きのうあれほど道徳の時間に、いじめについて話したのに・・・今日は何を言われたの?

ひろ子: わたしがミチコさんと昼休みに話をしていたら、あのトシコさんたち二人がミチコさんを呼んで、わたしの方をチラチラ見ながら「あいつと話なんか、するなよ~」って聞こえるように言ってるんです。放課後になって、さっきミチコさんがきて、「もう、あんたと付き合わない」って言ってきたんです。わたし、なんにもしてないのに・・・

担任: よし、わかった。先生も考えるから、ともかく今日は帰りなさい。そんないじめに負けないように頑張

ろうな・・・

      (ひろ子、しょんぼり帰る)

担任: いや~、困ったなあ・・・・どうしたらいいんでしょうねえ・・・?

教師1: 大変だねえ。難しいパターンだねえ・・・・

担任: もう、正直いって、腹が立ちますよ、あのトシコには!これだけ毎日自分たちのやってることが、どんなに悪いことかを気づかせようとしているのに・・・

    この間の学年集会でも、林先生から、いじめについていい話をしてもらったのに、わざと連中騒いでいたし、・・・「きみらの話だよ!ちゃんと聞け!」って思わず言いかけたんですよ・・・

まったく憎らしいですよ、ホントのところ!

教師1:それが正直な気持ちだろうね・・・一生懸命やってくれてるのにねえ・・・

担任:いっそのこと、じかに呼びつけて、ガンガン説教してやろうかな、もう!

教師1: う~ん・・・気持ちは分かるが、でもうまくはいかないだろうね。「おまえのせいで怒られた」って、さらに陰湿になる可能性が大きいよねえ・・・・・

担任: そうでしょうね。・・・・でも、どうしたら・・・・・?

教師1: どうだい、いっちょう逆療法でいってみないか?

担任: というと??

教師1: まず、おうちの人と話し合ってみませんか?あんなに人に意地悪するのは、何か、大きな欲求不満やストレスがあって、そのはけ口にしてるんじゃないかなって思うんだよ。我々も、つい、おもしろくないことがあると、家族に当ったりするだろう?まずは、おうちの人の話をきいてみて、それからだな。ちょっと考えていることがあるんだ・・・・・・・

 〔場面2 2日後の教務室 〕

担任: 先生、きのうトシコの母親と面談して色々と話を聞かせてもらいましたよ。いや~、なんやかやと大変なことがあるみたいで・・・お母さん、涙ながらに、言いにくいこともよく話してくださって感動しました。

きいてみると、トシコも可愛そうな子ですよ。あれだけ家庭の問題を抱えていて、元気なふりをしてるんだもの、むしろよく頑張ってるって思いますよ。

意外に思ったのは、うちでは本当に仕事の無いお父さんや病気勝ちのお母さんのことを気づかっているようなんですよ。あんなに優しい子とは驚きました。

教師1: なるほど、いい話ができて良かったですね。もしかしたら、いつも叱られてばっかりだったのかもしれないね、学校では。 ところで、今後どうしていこうかね?

担任: トシコのいい所を認めてあげたいです。かわいがってあげたいと思いました。あの子が、あんなひどい行為に走るなんて、よっぽどのことだろうと、むしろかわいそうになりましたよ。あったかくしてあげたいな、って・・・・・

教師1: わたしもそうしてあげたらいいと思いました。考えてみれば、係の仕事なんかは、それなりにやってますよねえ。きのう、授業連絡にきたので「ちゃんと仕事してるねえ、えらいぞ」って言ったらニコニコッとして・・・トシコの笑顔はかわいいですよ。「トシコはニコニコしてると、とても美人だなあ」って言ったら真っ赤になっていましたよ。

担任:そうですねえ、今朝、玄関で見かけたもんで「おはよう!」って声かけたら、意外なほど明るい声で「おはようございます」って返してくれたんですよ。どんどんほめて、認めてあげたいと思います。

  〔場面3 それから数日後、被害者ヒロ子と担任の会話 〕

担任: その後、どう? まだトシコさんは意地悪してくるかい?

ひろ子: それがねえ、先生。今日、トシコさんが朝「おはよう!」って声かけてきたんだよ。意地悪はしなくなったし、時には声かけてくれるし・・・・ どうしたのかあ・・・・?

担任: そっかあ、よかったなあ!



両親に受け入れられないで寂しい子(中2 男子)

問題行動・主訴
 授業に身が入らないで、ノートに戦闘シーンなどの落書きを書いている。(過激) 提出物を出さない。 落ち着かず、多動を見せる。 時に暴力的。 体格が小さい、未発達。

原因と思われるもの
 特に成績に厳しい両親 (共に高学歴で、子どもへの期待が大きい。)

[場面1 放課後の教室で]
教師A:  (日直の見回り途中)・・・おや、田中先生、もう7時過ぎなのに遅くまでご苦労様。教室の掃除ですか?  

担任: ああ、日直ご苦労様です。いや~、掃除というほどのことではないんですが・・・ (ある机の中から大量のプリント類を引っ張り出す。) 見てください、これ。  

教師A: おや、何ですか、これは! まるでゴミ箱みたいですねえ!みんなグチャグチャになってるし、・・・いったい、だれの机ですか?!  

担任: それが、例のイチロウなんですよ。全然、提出物がダメだなと思ってたら、この始末! ほら、これなんか、3ヶ月前の授業参観の案内文書ですよ。これは、先月の講演会の案内・・・全然、親に見せてないみたいです・・・  

教師A: それにしてもすごいなあ・・・! 机の中、ギュウギュウ詰めじゃないですかあ!  ああ、これ、明日の保護者会の案内だ・・・・! もうこれは「忘れた」というよりも、わざと持っていかないって感じですね・・・ なにか、深いわけがあるのかなあ・・・  

担任: いやネ、今日の昼休みには「僕の中間テストの順位、何番でしたか?!」って、しつこ くきいてきたんですよ。「まだ、採点中だから、もうちょっと待ってて」といくら説明し ても、早くしろ、早くしろ、って異常なほど気にするんですよ。 でも、その割に、まったく勉強しないんですよ。授業中はほとんどノートにマンガば かり書いているし・・・ ほら、このノート見てくださいよ。戦闘のマンガばかり、びっしりでしょう。首が飛 んだり、血しぶきが散ったりと、まるでゲームの世界なんですよ!

(突然、イチロウが入ってくる。)
こんばんは・・・  

教師たち: わ!! ビックリした!!!  

イチロウ: (元気なく)すみません・・・忘れ物取りにきました・・・  

担任: どうしたんだ?! こんな時間に。  

イチロウ:  数学のテストの答案を取りにきたんです。お父さんが「もう返されたはずだろう。今すぐ取ってこ い!」って・・・・(ごそごそ探す) ああ、あった・・・  

担任: なんだ、こんなにいい点数じゃないか。ねえ、先生。 (見せる)  

教師A: どれ・・・おお、95点か、すごいなあ! 今回は難しいテストだったんだけどなあ。・・・こんな 立派な点数だったら、おうちの人もほめてくれるだろう? どうしてすぐに見せてあげないの?  

イチロウ: (さびしそうに)それが、うちの親はそうじゃないんですよ。「95点か。これだけやれるのに、あと5点、どうして取れないんだ?!」って、二人してコンコンと説教するんですよ。 ・・・じゃ、さよなら・・・  
(イチロウ、答案だけを持って帰る。二人の教師、だまって見送るだけ。)            (了)



~ある話し合いで~ 学年委員会での話し合いの場面。   (中2生徒)

問題の概要:リーダーとして期待されている生徒の意外な反抗的態度に対する対応。(裏に「過剰適応」の問題をはらむ)

教師  ・・・では、今度の学年レクリェーションの計画を立ててもらいます。この前、おおまかに話し合いをしましたが・・・・・    

(男子生徒 太郎と二郎の2人、教師を無視して、聞こえるような声で私語をしている。)

教師  おい、そこ、静かにしなさい。    (まだ、私語をしている。)

教師  (怒り声で)いい加減にしないと、ほんとに怒るぞ!

二郎  おいおい、怒るときたぞ。

太郎  チェ! あ~あ、おもしろくねえ・・・・(ふてくされた態度)

教師  太郎は学年委員長だろう。それなのに、なんで話し合いに参加できないんだ!

太郎  (フン! といった態度で横を向いてしまう。
      
  *この後の対応はどうしますか???????????????

Aのパターン  
教師  なんだ、その態度は!(怒鳴る) リーダーがそんな態度じゃ、話し合いにならんだろう!

太郎  おれ達は、こんなの、やる気しねー! なあ、二郎。

二郎  ああ、やりたくねえー。

太郎  おれ達、やめさせてもらおうか。

二郎  おお、そうしようぜ!

教師  いい加減にしろ!・・・・・・・・    ( ⇒険悪なムード )



Bのパターン

(数秒、間をおいて、)

教師 ・・・(静かな口調で)太郎はじゃあ、この企画に乗り気じゃないんだね?

太郎  そうだよ。・・・・だいたい、どうしていつもオレが「開会のあいさつ」をしなければならないんだよ?!

教師  それは、きみが学年委員長だからさぁ・・・そうか! 小学校時代は児童会長だったものな。これまで小学校の時から、ずっとやらされてきて、それが、とても負担でつらかったのかな?

太郎  そうなんだよ・・・・・ このアイサツがなければ、どんなことでも協力します!

教師  そうか・・・・なるほどなあ・・では、たまには別の人にあいさつしてもらおうか。たまには、それもいいんじゃないかな。       みんな、どうだろう?  

( ウンウン、と全員無言の了承 ⇒なごやかで前向きなムード )               (了)   

コメント