【教育知識】ゲーム分析 〜楽しくない人間関係ゲーム!〜

交流分析理論の中に「ゲーム」という理論があります。これは、「結末が必ず不快な結果に終わる、定型化された人間関係ゲーム」なんです。「なんでいつもこうなんだろう・・・」「なぜあの人とは(親とは、同僚とは・・・)いつもこうなるんだろう」という時には、「無意識のうちに」このゲームにハマっていることが多いんです。これは、同じ不幸を繰り返してしまうということでもあります。

対策としては、まず第一に「あ、ゲームにハマっているな、ハマりそうだな!」と気づくことです。そのためには、ゲームとは何かを少し勉強しておくに越したことはありません

不毛な交流「ゲーム」

人は常にストローク(刺激)を求めます

*肯定的ストローク(+のストローク)= 心地よい刺激のこと = 「承認・愛情」      愛撫、優しい声、気持ちよい音、ほめ言葉、励まし・・・

*否定的ストローク(-のストローク) = 不愉快な刺激のこと  

         責める言葉、バカにする言葉、低い評価

人は肯定的ストロークを求めるが、それが満たされないと、代わりに否定的ストロークを求めるようになります。 

大原則!つまり、構ってもらえない、無視されることに人は耐えられないということ!孤独よりイジられている方がまだマシ、ということ。パシリに使われる子や、怒られても怒られても非行を繰り返す子の裏付けかも。

例、愛情が欠乏し、長所が認められず「良い所」がない、と自分が認識している子 
→ 非行などで自分の存在をアピールする。「やっぱり、おれはどうせこんなダメな人間なんだよ!」

様々な問題行動は、すべて「ストローク」を得るため!しかも、マイナスの!
だからこそ、普段、プラスのストロークで満たされていることが重要。「予防」になるのです。 残念ながら学校は基本的に「-のストローク」のかたまり。ゲームにはまっている「問題児」には、「+のストローク」を得る喜びを知らしめる必要があります。普段なにもない時こそチャンス、重要です!たくさんの温かい声がけ、関わりを10倍にしましょう! 何かしでかした後の注意・叱責だけでは、かえってゲームを強化してしまいます。(さらにエスカレートする可能性大!!)

大原則!たいへん重要
「ストローク理論」=「ほめて育てる」ことの理論的裏づけとなる。

「ゲーム」とは・・

ふだんから肯定的(+の)ストロークが得られない人が、しかたなしに否定的ストロークを求めて、無意識にまわりにしかける人間関係ゲーム。結末は必ずどちらも不愉快な思いをしてしまう。否定的(-の)ストロークのやりとりが習慣化したもので、同じことをくり返すことが多い。(又、やはり、こうなっちゃった)  

 発達段階での原因として考えられること

  • 基本的信頼関係の成立に障害があった場合
  • しつけの時期に母親との相互調節に問題があった場合
  • 両親との三角関係から対人様式のゆがみが生じた場合

何のためにゲームをするか?

  • 時間の構造化

人間には、常に何かの刺激(ストローク)が必要で、とりあえず強い刺激をゲームで得ることができる。「かさぶたを掻く」ような快感を体験しながら、時間を過ごすことができます。非生産的ではあるが、非常にスリリングな時を過ごせるのです。

  • 強いストロークの獲得

   不愉快ではあっても、ゲームによって非常に強い刺激が得られる。青年期は非常に「ストローク飢餓」が強い時期。

  • 考え方の枠組みの維持

   「~は、きっとこうである」という考え方の枠を確認する行為です。

「大人なんて、やっぱりずるいじゃないか!」などという風に。

  • 「スタンプ」の収集

   ゲームでいやな感情をため込んでおき、やがてそれを爆発させるため。

例、「いつもお父さんはそうじゃない、もういいかげんにして!」

  • ゲームが人生脚本に組み込まれている。

    自分で描いた自己の人生の脚本の一部としている。「不幸な自分の一生」の一場面。

  • 「私もOK,あなたもOK」を否定するため。

   「わたし(あなた)なんて、やっぱりダメなやつなんだ、」ということを確認するため。

  • 親密な交わりを求めての切ない努力の過程

    あまりに親密な関係を求めながら、それができずに不愉快な結果に陥ることを繰り返す。

  • 予測の確認

    未来の不確実性が恐ろしい。ゲームをしていると先が見えているので安心する。それで、不愉快な結果と分かっていても、つい繰り返す。「思った通りになったわ。」

  • 孤独を避けるため

    ゲームで、絶えず人の関心を引きつけておくことができます。少なくとも「一人ぼっちではない」状態にいられます。

「ゲーム」のやめ方

ゲーム」は、ただ不愉快な結末だけが両方に残る非生産的な行動です。なるべくなら、そのゲームに巻き込まれないようにしたいものです。

 ゲームを終了するには・・・気づくこと!  「ああ、ゲームにはまりそうだな!」

1、「相手が挑発してくるゲームに乗らないこと」

2、「自分自身がゲームを演じないこと」

~ 具体的な方法 ~

 ① 「交叉的交流」を用いる

    相手をA(大人)の自我状態に入れる。具体的には、相手に事実に関する質問をし、しばらく交流に間を置くようにする。冷静にさせて、交流を打ち切る。

  • 否定的(-の)ストロークに強く反応しない。

   「売り言葉に買い言葉」にならないこと。何かいわれても「そう感じるんですね。」というように冷静に返してしまう、など。(傾聴法の「繰り返し」)

  • 長々と時間を費やさない

    適当なところで相手に譲歩することも一つの方法。カッカしている相手に(勝ったな)と心の中で宣言する、など。

  • ラケット(個人の中の慢性的に定型化された不快感情)を肯定的にストロークしない。

 その人が成育する中で身につけてきたマイナスの感情(不安感、孤独感、罪悪感)などが出てきたときに、それを肯定するようなことを言うとさらに強化されてしまう。
 (極端な例:いつも、「死にたい」と言っている人に「それは当然死にたくなるよね」というようなことは、さらに病的なところを強化してしまう。)

  • [+のストローク]を日ごろから充分に与える。

    「傾聴」はもっとも優れた+のストロークである!!!!!

~ 心をどう育てる? ~

* 心の栄養分『+のストローク』をたっぷりと!!

例  1、「聴いて育てる」= 傾聴法の活用

      真剣に聴いてあげることは、相手に最大限の関心を向けること。自分に興味を持ってもらうことは、とってもうれしいものです。

      「聴き上手」になりましょう。

2、「ほめて育てる」= 承認欲求の充足

      子どもたちが、それなりにがんばったことをしっかり認めてあげられるよう、「ほめ上手」になりましょう。

   3、「活躍させて育てる」= 自己有用感の育成

      子どもたちに、意図的に活躍の場を作ってあげましょう。

「活躍させて認めてあげる」名人をめざしましょう。 

     4、「大人の態度で育てる」=落ち着いた〔A〕の力の活用。

        新しいことに対してや、失敗に対しては、方法を順序だてて具体的に指導していきましょう。( A = 大人の理性的態度で )

         特に、失敗したことに対して CP の強い人は、権威的、懲罰的、拒否的な態度( -のストローク )になって、相手の自己評価を下げてしまう傾向があるので注意。( 「ああ、自分はだめな人間だ …」 )

         「なんで失敗したんだ!」と責めるより、「次は同じことくり返さないように ~ していこうね。」という態度が望ましい。

「厳しくビシッとすべきか、どうか」・・・まるで永遠のテーマのように論じられますが、どちらでもよいのです。ただし、条件があります。「要は、その子にとって、その指導が、+のストロークになっているかどうか」です。ですから、先生方ひとりひとり、やり方が違っていても良いのです。それが先生の「個性」です。ところが、それを無理やり「共通理解」などといって行動を一律にしようとすると、とんでもない無理が生じます。A先生にはできてもB先生にはできないことがあるのです。

また、その逆ももちろんあります。特に女性が表面的に男性教師の真似をしてもうまくいきません。

互いの個性を出し合いながらも、「ともかく、それぞれの形で“+のストローク”をふんだんに与えよう」というように、だれもができる点では共通理解し合っておくことが、真の“共通理解”です。こういうことが、生徒にとっても教師にとっても、良い循環を生む基本的条件となります。

良い循環(サイクル)とは・・・・

1、最重要! できたら、「ほめる、認める」 = 【正当な評価】を忘れず与える

   すべて、「+のストローク」につなげなければならない

2、自己評価が高まる! =自己肯定感、自己有用感、自信、プライド・・・・

  やる気が生まれる

3、向上意欲、自立・自律心、自己指導力、学力、部活成績etc・・・の向上 

  何にでも積極的になり、頑張る力が育つ!

4、さらに「+のストローク」を与える機会が増える!

成果が出る! 認められることで、さらに伸びようとする力が生まれる!自信がつく!

この循環がうまく行くように務めることが「人を育てる」ということ。

 教育とは、「人間としての自信を育てること」つまり
 「自己肯定感を育てる」ということです。

不毛な交流「ゲーム」の具体的な例

まず、良くないゲームの例を挙げます。どう対応したら良いかは、下記「ゲームのやめ方」で示します。

*学校での「ゲーム」

13 大騒ぎのゲーム ~ツッパリ、授業妨害など

(授業中のこと)

教師; はい、それではプリントの問題をやりましょう。

生徒; (大声で)あー、おもしろくねえ。こんなの、やってらんねえよ!うざってー!

教師; おいおい、騒がないで。やりもしないうちから、何言ってるんだ!やってみろ!

生徒; やだね! おう、たまには体育館で遊ばせろや。なあ、みんな !

教師; (やや怒り声で)今は、国語の授業だろ。もうすぐ、受検なんだぞ。しっかりしろ!

生徒; うっせーなあ、だいたいお前ムカツクんだよ! 受検、受検とヨー!

教師; なんだ、その口のききかたは!!

生徒; なんだー、やるかあ!!!!!

14 道化者(間抜け者)のゲーム  悪ふざけなど、相手が怒るまで続ける、など

 (終学活の連絡で)

教師; では、明日は遠足ですので、くれぐれも弁当を忘れないようにネ。

生徒; 先生、質問! 飲み物はお茶しかだめなの?

教師; お茶でも、水でもいいんだよ。

生徒; じゃ、スポーツドリンクは?

教師; ああ、それでもかまわないよ。自分で判断しなさい。

生徒; じゃ、ウーロン茶は?

教師; いいよ!

生徒; (調子に乗って) 「飲むヨーグルト」でもいいの、先生。 粉ミルクは?!

教師; (いらいらして)ちょっと、常識で考えなさい、ふざけるんじゃない!!

15 「仲間割れ」のゲーム 〜 色々な「事件」を起こして、大人が対策をめぐって仲間割れを起こすのを楽しむようなこと。

(教師の会議で)

教師1; 最近の太郎の行動はとても見過ごすことができません。授業はさぼって、タバコはすう、教師にはたてつく、ガラスは割る、給食は人の分まで勝手に食う・・・・

     いったい、担任はどういう指導をしてるんですか。

担任; いや・・・太郎には太郎の悩みがあるようなんですよ。今、そこらあたりを必死にとらえようとしているところで・・・・

教師1; そんな、のんきなこと言ってるうちに、まわりはどんどん迷惑してるんですよ。ほかの生徒の学習が遅れたら、どうするんですか !

担任; そうは言っても、あの子の問題だって放ってはおけないでしょう。太郎だっていいところもあるんですよ。仲間思いのところもずいぶんあるんです。

教師1; 授業さぼって保健室にばかりタムロしているようだが、甘やかしではありませんか。養護教諭が、あのグループにこびるような態度とるから連中は調子に乗るんだよ!

担任; そうは言っても、太郎たちは保健室でだけ、本音を話してくれるんですよ。もうすこし、太郎たちとも触れ合ってみたらいかがですか。

教師; とにかく、校長! 一刻も早く、連中をおとなしくさせるよう対策を打ってください!!

*教師の演じるゲーム

16  「友だち」のゲーム 〜物分かりの良い教師を演じて、結果的に子どものコントロールができなくなり、まずい結果に陥る。

 (夕方、偶然 会った生徒と教師)

生徒; おう、先生。どこいくの?

教師; やあ、太郎。夕飯食べに行くところだよ。

生徒; 先生、俺にもラーメンおごってくれよ。うちで食ったってうまくないしさ。

教師; うーん・・・よしよし、たまにはいいだろう。

生徒; さっすが先生! 話のわかるのはあんただけだよ。

教師; そうかそうか・・・ほら、この店うまいんだぞー。なんでも食べなよ。

    先生はビール飲ませてもらうからな。

生徒; 先生、ビールうまそうだなあ。おれにも一杯飲ませてくれよ。

教師; だめだよ、子どもなんだから。

生徒; なんだよ、いつも「俺たち仲間だよな」って言ってるくせに。このまえ次郎の件で力貸しただろう。いいじゃん、一杯くらい。

教師; しょうがないなあ、・・・じゃ、一杯だけだぞ・・・

生徒; さっすが、話の分かる先生だよなあ!! ・・・プハー! うめえなあ!!

17  こんなに私が無理をしているのに」のゲーム 〜結局、自分に同情してほしいだけでそれが快感。だから解決する気は無い。

教師1; ねえ、どうしてうちのクラスはあんなにまとまりがないんでしょうかね。

教師2; そうだな、ちょっと落ち着かない感じがあるねえ。

教師1; ぼくは毎日学活の時に、まとまりやチームワークの大切さ、思いやりの必要性を話して聞かせてるんですよ。でも、あんまり聞いてくれないようで・・・

教師2; ほう、それは残念だね。

教師1; 学級だよりも毎日のように書いて、人間の生き方について一生懸命教えているつもりです。

教師2; なるほど・・・でも少し視点を変えてみたらどう? たまには気楽に遊べる時間を設定するとか、さ。あなたと本当は触れ合いたいんじゃないの?

教師1; そんなことしたって、うちはだめですよ、どうせ。

だけど、なんであんなに言い聞かせてるのに分かってくれないんだろう。今日の道徳の資料だって徹夜で作ったんですよ。なのに、終わったら、教室中にビリビリ破かれて捨てられているんですよ。切ないですよ。もう胃が痛くなりますよ。・・・・・・・

教師2; じゃあ、ちょっとリーダー的な生徒とじっくり話してみたら?

教師1; そんなことしても、どうせ無駄ですよ・・・・・・・・(アドバイスは全て、否定。)

18 「さあ、しぼってやるぞ!」のゲーム 〜思いっきり叱れるチャンスが生まれると、これ幸いと張り切って相手の非を責める。

( 体育館に生徒を集めて )

教師; よーし、みんな正座しろ ! 最近お前たちの態度をみているととっても我慢できない。 清掃はいいかげん、授業中は私語ばっかり、服装は乱れてきている。

    (ネチネチと)いったい、どうなってるんだ ! 中には髪を染めているものもたくさんいる。

    ピアスはするは、化粧はしているは、そんなのはみんな気持ちのたるみだ!

生徒; (ひそひそと)

   A, (なんだい、あのセンコー、まわりに教師が集まってるときは、えらく強気じゃねーか。)

   B, (そうだよな、いっつもネチネチとくどいんだよな。・・・)

   A, (まったくな、とにかく早く終わしてくれよ、足がいてーよー・・・・)

教師; こら! そこ。なにしゃべってるんだ!! だいたい、そういう態度だから・・・!

*家族の間で

19  不登校の子への「問い詰め」のゲーム

( 夕食時に )

子; わたし、あした学校に行こうかな・・・

母; え、そうなの。やっとその気になったの! よかった、うれしいよ、お母さん!

子; だから、7時には起こしてね。きっとだよ。

母; まかしといて!! (うれしそう)

  ( 次の朝 )

母; ほら、花子、7時だよ、起きなさい。

子;・・・・お腹が痛い・・・・

母; 何言ってるの、今日は学校行くって、夕べ約束したじゃない !

   がんばって起きてみなさい。

子; お腹が痛くて起きれない。今日は休ませて・・・・・・

母; また、そんなこと言って。お昼になればいつもケロッとしてるじゃない。

子; だって、ほんとに痛いんだもん!

母; きのう、約束したでしょう! 行くっていったでしょう!

子; お腹痛いっていってるでしょ!! お母さんなんて大嫌い!!!!!!

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ゲーム」のやめ方  〜上記のような、不愉快な結果に陥らないための対応例です。
                 前提は、「ゲームにハマりそうだな」と気づくことです。

 学校での「ゲーム」

20  大騒ぎのゲーム 

 (授業中のこと)

教師; はい、それではプリントの問題をやりましょう。

生徒; (大声で)あー、おもしろくねえ。こんなの、やってらんねえよ!うざってー!

教師; (落ち着いて)おいおい、騒がないで。どうした、勉強する気が出ないのかい ?

生徒; そうだよ、たまには体育館でバスケでもしようよ。! 

教師; ふーん・・・思いっきり、体動かしたいの?

生徒; そうだよ、どの先生も「受検が近いから、」って言うし、親も口うるさいし。

教師; なるほど、ストレスたまってるんだなあ・・・・・・・

生徒; そうなんだよ・・・・・・・・・

21  道化者(間抜け者)のゲームに対して。

   (終学活の連絡で)

教師; では、明日は遠足ですので、くれぐれも弁当を忘れないようにネ。

生徒; 先生、質問! 飲み物はお茶しかだめなの?

教師; お茶でも、水でもいいんだよ。

生徒; じゃ、スポーツドリンクは?

教師; ああ、それでもかまわないよ。自分で判断しなさい。

生徒; じゃ、粉ミルクは?

教師; おやおや粉ミルクか・・・ 君はところで、何を持っていったらいいと思うの?

生徒; そうだなあ、おにぎり持っていくから、お茶がいいかなあ・・・

教師; そう、それはいいね。明日晴れるといいね。楽しみだねえ!

生徒; うん!

22 「仲間割れ」のゲームに対して

教師1; 最近の太郎の行動はとても見過ごすことができません。授業はさぼって、タバコはすう、教師にはたてつく、ガラスは割る、給食は人の分まで勝手に食う・・・・

     いったい、担任はどういう指導をしてるんですか。

担任; いや・・・太郎には太郎の悩みがあるようなんですよ。今、そこらあたりを必死にとらえようとしているところで・・・・

教師1; そんな、のんきなこと言ってるうちに、まわりはどんどん迷惑してるんですよ。ほかの生徒の学習が遅れたら、どうするんですか !

担任; ・・・なるほど、あなたは他の生徒のことも心配しているわけですね。

教師1; そうそう。授業さぼって保健室にばかりタムロしているようだが、他の生徒にシメシがつかないじゃないですか。「なんであいつらばかり、だまって遊ばしてるんだ」って聞かれて困りましたよ、さっき。

担任; なるほど、うまい答え方があるといいですよねえ・・・太郎たちは保健室でだけ、本音を話してくれるんですよ。それも含めて、皆さんと今後のことについて相談させてもらえませんか。

教師; そうだね、近いうちに相談しましょう。

23 「友だち」のゲームに対して。

 (夕方、偶然 会った生徒と教師)

生徒; おう、先生。どこいくの?

教師; やあ、太郎。夕飯食べに行くところだよ。

生徒; 先生、俺にもラーメンおごってくれよ。うちで食ったってうまくないしさ。

教師; うーん・・・でも、もう7時過ぎてるんだぜ。うちには帰らないのか。

    ご飯、もうできてるだろう?

生徒; だって、うんまくないもん。

教師; そうか、あんまり夕ご飯の時、いごこちが良くないのかな。

生徒; そうなんだよ、いつも食事のたびに説教されてみなよ、たまんないぜ。

教師; なるほど、じゃあ明日その話、聞かせてくれ。これからは大人の時間で俺は一杯やるんだから、邪魔すんな。またな。

生徒; なんだよ、いつも「俺たち仲間だよな」って言ってるくせに。

教師; よーし、お前が二十歳になったら、乾杯しようぜ!!

生徒; わかった、じゃあね。さよなら!

家族の間で

24  不登校の子への「問い詰め」のゲームに対して。

( 夕食時に )

子; わたし、あした学校に行こうかな・・・

母; え、そうなの。やっとその気になったの! よかった、うれしいよ、お母さん!

子; だから、7時には起こしてね。きっとだよ。

母; まかしといて!! (うれしそう)

  ( 次の朝 )

母; ほら、花子、7時だよ、起きなさい。

子;・・・・お腹が痛い・・・・

母; おやー・・・・また、お腹が痛むの。

子; お腹が痛くて起きれない。今日は休ませて・・・・・・

母; 起きれないほど痛いのね。困ったねえ。

子; そうなの、だから今日は側にいて、お母さん。

母; じゃ、お腹さすってあげようかね ? 

子; うん、ありがとう・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「+のストローク(肯定的な刺激)~ プラスの面を見とる力を!

 25  × 「-のストローク」だけの まずい例

母; 今日、国語のテスト返してもらったでしょう。見せてちょうだい。

子; うーん、あんまり良くなかったんだけど・・・(しぶしぶ出す)

母; 何、この点数は ! 平均点よりずっと下じゃない! こんなことでどうするの!

   もうお母さん、恥ずかしくて町を歩けないよ。何やってるの!本当にだめな子だねえ!

26  ○ 「+のストローク」に変換する例

親; 今日、国語のテスト返してもらったでしょう。見せてちょうだい。

子; うーん、あんまり良くなかったんだけど・・・(しぶしぶ出す)

親; おやおや、たしかにあまり良い点じゃないねえ・・・ ああ、でも、こんな難しい漢字がよく書けたねえ。

おや、この文法の問題もマルがたくさんついてるじゃないの。

子; だって、それは簡単なんだよ。

親; それでも、マルだもん。よかったねえ。次はきっと今回より良くなるよ。

子; (ほっとしたように)うん!

27  ×「ほめたつもりが・・・・」の例

親; 今日、国語のテスト返してもらったでしょう。見せてちょうだい。

子; うーん、それほど良くなかったんだけど・・・

親; おー、85点か。 なかなかいいじゃないか。

子; (うれしそうに)そう? クラスでは5番以内にはいったんだよ! 今回はがんばったんだから!!

親; いいか、おまえ。おまえだってやればできるんだ。なのに、普段はゲームばっかししていて、予習、復習なんてしたためしがないじゃないか。せっかく、能力があったって努力しなければ、何にもならないんだよ。今回はちょっとがんばっただけで、これだけの点数が取れたんだ。次はもう少し普段から勉強して、90点以上を目指しなさい!

子; (不満そうに)ちぇ! (と、横を向いてしまう)

28 活躍させて育てる

親; (腰つらそうに)今日はお母さん、腰が痛くて動けないんだよ。すまないが夕飯作ってくれないかねえ・・・・?

子; えー、面倒くさいなあ・・・ 本当に動けないの・・・?

親; お医者さんに行ったら、2,3日安静にしてなさいって言われてきたんだよ。

子; しょうがないなあ・・・! 何を作ったらいいの? 

母; そうだねえ、何がいい?

子; お父さん、カレーが好きだから、それでどう?

母; そうだねえ! それなら家族みんなが好きだものね。

子; じゃ、買い物に行ってくるね !

母; うん、気をつけてね!!

   ( 夕食後 )

父; 今日のカレーはいつもの味とちょっと変わってたなあ・・・・

母; きょうはねえ、お姉ちゃんがみーんな作ってくれたのよ。

父; ほー、そうか! お母さんのとは、また一味ちがってて、うまかったぞ!

母; おばあちゃん、どう ?

祖母; うん、おいしかったよ! ごぼうのキンピラもおいしかったよ。これも作ってくれたんだよねえ・・

子; そうだよ! お母さんから聞いてね。ちょっと、しょっぱかったかな?

父; ううん、いい味だよ。よく、お母さんを助けてくれたね、ごくろうさん!

母; 本当に助かったよ、ありがとうね!

子; また、明日も作ってあげるね !                         (了)

コメント