ユングの「性格論」が役に立つ
- なんで気になるの? 「性格」
*「自分」とは何か *
第1の証拠 「赤ん坊の時から今までも、そしてこれから先もずっと、一人の同じ人間だ。」と分かっていること。
= 自己の単一性と一貫性の意識 A
第2の証拠 「自分は他の人たちと、考え方や感じ方、行動の仕方に、似たようなところもあるが、ちがったところもある。」と分かっていること。
= 自己の独自性の意識 B
A + B = 自己同一性(アイデンティティー)=「これが自分なのだ」という実感
「アイデンティティーの危機」=「ここはどこ? わたしはだれ?」
(なにをやっても、自分がやったという実感がなかったり、自分の中に何人
もの自分がいて、どれが本当の自分か分からなくなったりする。=大きな不安 )
* 思春期、青年期 =「自分とは何か」を探し求める時期 = 疑問や悩みに出会いやすい= 大きく成長しようとしていることの証拠 = たくさん悩め!
「性格を知りたがるわけ」その1 「自分を知りたい」
自分の性格を知ること = ①「自分と人とのちがいを知ること」
②「何を大切にし、どう生きようとするのか」をつかむこと。
「性格を知りたがるわけ」その2 「相手を知りたい」
「自分とちがう他人とうまくつきあうこと」の役に立つ。
~ 自分が好きなものを、ひとも好きとは限らない。それを知った上で人々と付き合っていくことを学ぶ。 相手の個性や価値観のちがいを知る。
「性格を知りたがるわけ」その3 「未来を知りたい」
「この先、自分はどんな人生を送るんだろう」「こんな夢や希望がかなうかな?」など、自分の性格がどんな仕事に向いているか、どんな人と相性がいいかを知りたいもの。
* ユングと「タイプ」論 *
「無意識」を理解しよう
意 識 「今、自分がしていることが分かっている状態」
無意識 「意識がない状態」= 普段の生活にチョコチョコ顔を出す。
例・普段やさしい人が突然思いがけないきつい言葉を言って、まわりがビックリする。
・あまり好きでない人の電話で「また、電話してね。」と言おうとして「また、電話しないでね。」とつい言ってしまった ・・・・・・・ など。
「言いまちがえ」「やりそこない」「どわすれ」などはその表れ。
「無意識の世界」
* 自分では気がつきたくない、または、認めたくない、いやな思い出や欲望など人の心をガンジガラメにしてしまう恐ろしい力と共に、生命力や想像力の源、未来への可能性がかくれていると考えられている。
- 無意識の世界を知ること
= 恐ろしい力から抜け出し、かくれた可能性を自分の物とし、何か新しいものを生み出しながら生き生きと生きることができるであろう。
自我
意識 |
個人的無意識 |
集合的無意識 |
無意識の世界 =ユングは無限大とも言っている。人は無意識に操られて生きている。意識している自分は、氷山の一角。自分をわかっているようで、実はほとんどwかっていないのだ、と。
一説には、人の心は95%は無意識
自我とは
・「これが自分なのだ」(アイデンティティー)と感じる部分。
・意識の世界の門番の役割
心の内外から押し寄せてくる経験を、意識の中へ入れたり、個人的無意識に追い払ったりする。
個人的無意識
- 一度、意識された経験でも、何かの理由で自我がそれを認めたくないものや、重要とは思わなかったものなどがたくわえられる。これらは必要があれば意識の世界に取り出せる。
しかし、
・簡単には取り出せない内容もある。 似たような内容が集まり コンプレックスとなる。
* コンプレックス
・意識のコントロールを受けず、ぎゃくに意識を支配して行動に影響を与える。 (思いがけない言いまちがえ、意外な意地悪など)
- 「劣等感」とはちがう。劣等感は、たとえば「自分は美しくない」と悩むようなこと。
これは、自分でそのことを意識し認めている。
コンプレックスは、「自分は美しくない」ということを素直に認めることはシャクにさわるので、その気持ちを無意識に押し込めて分からなくする。ところが、その気持ちがときおり行動に表れてきてしまう。
例えば
・やたらと厚化粧したり着飾る。宝石をたくさん身につける。
・自分より美しいと思う人をみると、ムカツク。イライラする。意地悪を言う、など。
これを「劣等コンプレックス」という。
- だれもが、たくさんのコンプレックスをもっているもの。
たとえば、「お母さん」という言葉を聞くと、たいていの人はなんとなく心の揺れ動くのを感じる。
= 「マザーコンプレックス」 (ごく普通のもの)
* 異常に強いコンプレックスを持つと
何かに強く心を奪われて他のことが考えられなくなる。
普通の生活ができなくなる = 「ノイローゼ」という。
集合無意識
個人の経験からできているのではなく、人間ならだれもが生まれつき持っている心の世界。古今東西の人類だれもに共通する無意識なので「集合無意識」という。
(世界中に、太陽が神だ、というような伝説などがあるのはそのせい。)
元型 (=もとになる形)をふくむ領域
例 グレートマザー = 「母」のもとになるイメージ
老賢人 = 「父」のもとになるイメージ など。
- 一番大切な元型 「自己」= 意識と無意識をあわせた心全体の中心でもあり心全
体でもある。
例えれば、自我を地球とすれば、自己は太陽であり太陽系宇宙でもある。
*「自己」は理想像としての、完全なもう一人の自分
この理想的な自分に近づいていくことを「自己実現」
または「個性化の過程」という。= 人の究極の目標
* 心を動かすエネルギー「心的エネルギー」
電気が+と-極を行き来するのと同じように、心の「意識と無意識」「自我とコンプレックス」など対立するものの間をたえず流れて、心のしくみを動かすもの。
◎エネルギーが、無意識から意識へ向かう = 進行 意識から無意識へ向かう = 退行
- 睡眠中はほとんど退行している
- 起きている時、退行すると、なんとなくボーッとしたり、すぐ疲れたり、なんとなくイライラしたりする。
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「 ノボル君 」の例
① まじめな努力家で信頼も厚い学級委員長の、中学3年生のノボル君。ところが、2学期になると勉強に集中できなくなり、学校も休みがちとなり、自殺を考えるほどになった。
② カウンセリングで、きいてみると、進路のことが一番の問題であった。
彼は公立高校に行きたい。しかし、母親は体の弱い一人むすこが心配で、「大学受験の心配のない私立大学の付属高校にしなさい、」と言いはっている。
- やさしいノボル君としては、母親の気持ちもわかるので裏切るようなことはしたくないし、一方で自分の希望も通したい。でも失敗して、母から「それみろ」と言われるのも怖いしで、ニッチモサッチモ行かなくなった。
- つまり、受験という困難に直面し、彼の心的エネルギーが退行し、無意識のマザーコンプレックスにたまってしまって、勉強するエネルギーがなくなってしまったのである。
- それで「ノイローゼ」という困った結果になった。
- しかし、コンプレックスはそれに気づくことで成長のきっかけになる。
退行も次の進行に向かうための大切な準備期間である。
- ノボル君は「いままでどんなに母親に支配され、『良い子』をやっていたか」に気づいた。
- とりあえず、母親の希望どおりに私大の付属高校に進学したが、母親を裏切る『悪い子』にもエネルギーを分けてやって、三年後には自分で選んだ大学を受験し、自分の力で進学するという意志をつらぬいた。
- この時、ノボル君は「良い子」と「悪い子」という部分がうまく補いあうことができる、
「新しいノボル君」に成長していたのである。
- 何か新しいものや、新しい自分を生み出すためには一時的に自分の中に閉じこもったり、ただブラブラしていたり、ちょっと見るとバカバカしく見える事をするのも時には必要である。
このような退行を「創造的退行」という。「登校拒否」もこの創造的退行のことが多いもの。創造的退行はエネルギーの充電期間といえる。そして心的エネルギーの進行や退行を大きくコントロールするのが「自己」である。 例 「三年寝太郎」
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ユングは、性格はかなり生まれつきの素質によると考えた。しかし、環境の影響も大きい。適当な経験と教育が必要で、それがゆがむと、性格もゆがんでしまうと考えた。
ノボル君は、親や教師が何でも言うことをきく「良い子」の部分ばかりを育ててしまい、彼もそれで満足していたため、自分をはっきり主張したり、時には親や教師に反抗もするという「悪い子」の部分(自己主張、自立心)を育てられてこなかった、ということになる。
* 性格の「タイプ論」 ~ 8つのタイプ ~ *
- 「完全に○○タイプ」という人はいない。「どちらかというと、○○タイプ」といったほうが正確。
A 2つの「心の態度」 (注意・関心はどこに向いてる?)
外向タイプ
~ 注意・関心が自分自身よりも、まわりの人や物、できごとに向いている人 ~
- 外が寒ければコートを着ようとする。
- ある歌手を「みんながほめるから」というので自分もほめる。
- まわりの人々が「いい」といえば良いと言う。
- まわりの期待される通りにやろうとする。
- 気配りのいきとどく人でグループ内で浮き上がったりはしない。
- まわりが変化すると自分もすばやくそれに合わせられる。
- 相手の長所をすぐに見つけて、それに合わせてつきあうので、友達も多いし明るくて気持ちのいい人。自分もまわりに働きかけるような積極性を持っている。
弱点
- まわりの評判をとても気にして、ほめられたりすると安心しますが、けなされたり無視されたりすると、自分が生きてはいけないのではないか、と思ったりする。
- 行き過ぎると、まわりに合わせ過ぎて、言われたことをやるだけ、発展がなくなる。
- まわりのことに気を取られすぎて自分を見失ってしまうことがある。
内向タイプ
~注意・関心がまわりよりも自分自身に向いていて、自分のことを大切にする人 ~
- 寒くても、体をきたえるためにコートなんていらない、と考える。
- その歌手が気に入らなければ他人がなんと言ってもほめない。
- 自分の考えを大切にして行動する。
- とっつきは悪いようだけど、よく知り合ってみるとユニークでおもしろい、個性的な人が多い。
- 外向的な人が分からないような、独特の感じ方をすることができる。
弱点
- 外向的な人からは自己中心的だったり、主観的に見えたりする。
- まわりの影響を受けないように、ますます自分のからにとじこもりやすい。
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B 4つの「心理的機能」(心のはたらき)
- 「思 考」機能 物事を、すじ道立てて、頭で考えて判断するはたらき。
- 「感 情」機能 「好き」「嫌い」の感情にそって判断するはたらき
- 「感 覚」機能 目、耳、舌、はだ触り、鼻という「五感」のはたらき
- 「直 感」機能 なんとなく心に何かがひらめく働き。
- たいていの人は、一つの機能が発達していて、それを使って普段生活している。残りの機能は未発達で、うまく使えない。
* 正反対の「心のはたらき」 *
「思考と感情」(理屈にあった、合理的機能) 思考機能の強い人は、感情機能が未発達。
A 思考タイプの人は「あたまの良い人」。それだけに冷たい印象があるが、それは感情機能が未発達だから。(自分の好みや人の気持ちがよく分からない)
* 思考タイプの人が未発達の感情機能を使うと、コントロールがきかなくなって、はげしい感情(激情)を出すことがある。「感情的」になるのだが、これはかえって感情機能が弱いからである。
B 感情タイプの人は「好き、きらい」という自分の気持ちを大切にする。このタイプは感情をよくコントロールできる。相手や状況に応じてどんな感情を使えばいいか、よく知っている。
- 弱点の「思考機能」を使うときは、本やテレビで聞きかじったような知識を、自分でもよくわからないくせにふり回すので、相手はまいってしまう。コントロールのきかない思考は「へ理屈」になりやすい。
- 「講釈家、理屈屋 =思考タイプ」ではない。思考機能がむしろ未熟なので、理屈をふりまわす。
「感覚と直感」(理屈ではない、非合理的機能)
C 感覚タイプの人は、五感を使って現実をしっかりとらえるが、物事を総合的に判断したり将来のことを見通すのは苦手である。
D 直感タイプの人は、実際にしっかりと物をみたり聞いたりすると、かえって直感が働かないので、いつも目を細めるようにして、なんとなく全体を見渡しながら、心のなかにパッと浮かぶヒラメキをとらえたり、将来を見通したりする。いわゆる「第6感」の働きが強い。
*ほかの機能(思考や感覚、感情・・・)の助けがないと、ただの思いつきに終わり、何もできない結果に終わる。
心の態度(内向・外向)と心理的機能の組み合わせによる「8つのタイプ」
◎ 主機能と補助機能(得意な機能と苦手な機能)
主機能 = その人の中で一番よく発達していて、うまく使える機能。
補助機能 = たいていの人はもう一つ、かなり発達した機能をもっている。
- 劣等機能 = 主機能と正反対側の、もっとも苦手な機能で、弱点。
無意識の中に「可能性」として残される。
例、 思考機能が強い人は、感情機能が弱い。 感覚機能が強い人は直感機能が弱い
◎ 8つのタイプ
A「外向思考」「外向感情」「外向感覚」「外向直感」型
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B「内向思考」「内向感情」「内向感覚」「内向直感」型
~ 「虫の好かないヤツ」劣等コンプレックス ~
気が合う、合わない =性格タイプの違いからくるもの。タイプが反対の人の特徴が、互いに、いやな欠点に思えてしまう傾向がある。
例
* 内向的な人は、外向的な人の人づき合いのよさを「なにさ、ブリッ子」などと思う。
外交的な人は、内向的な人の、ひきこもりがちな態度をみて、「ウジウジしてないで、パーッとやればいいのに。」と感じる。
* 思考タイプの人にとっては、感情タイプが何でも「好き、きらい」で判断することが
わがまま、自己中心的に思える。
逆に、感情タイプの人には、思考タイプの「好きでもきらいでも、やるべきことはやらなくては」という態度は、人の気持ちを考えない、理屈っぽくて冷たいものに感じられる。
* 感覚タイプの人は、直感タイプのヒラメキを「いいかげんなあてずっぽう」と非難する。
直感タイプの人には感覚タイプが「心地よさばかり求める下品な遊び人」に思える。
正反対のタイプの相手の、もっとも得意な機能が、自分にとって一番苦手な機能、つまり弱点になっているので、だれでも弱点にさわられるとイライラして、相手が「虫の好かないヤツ」と感じられる。
*「虫」= 自分のコンプレックス
自分の弱点を認めないで、無理に反対のふりをしたり、自分の弱点の機能が優れている相手の悪口を言ったりする。= 劣等コンプレックス = すぐれている相手に対するうらやましさやら憎たらしさなどの複雑な気持ちを無意識の中に閉じ込めて自分でも分からないようにして、ただイライラしている感情。
例 「人づきあいが悪い」のはよくないことだと思っている人は、とかく、自分の人づきあいの悪さを認めたくないもの。それで、(内向的な人が)無理に人づきあいがよいようにふるまったり、そのくせ、人づきあいのいいひとを見ると「なにさ、ブリッ子しちゃって・・・」などどイヤ~な感じがして、イライラする。
- 「わたしは○○がだめなんだよなあ・・・」と意識しているのは「劣等感」であって、コンプレックスではない。
- コンプレックスを持ちつづけること = 自分の弱点を認めないこと= 成長のさまたげ
しかし、コンプレックスに気づくこと
=弱点を知ることで、克服につながる = 成長のきっかけ
~ 「シャドウ」(影の自分)~ 劣等コンプレックスの元型
無意識の中に「可能性」として残っているものが、「未発達で幼稚なもう一人の自分」として現実の自分に影響を与える。無意識の中の、自分にとっても暗くてイヤな存在なので普段は自分でも気づかずにいる。また、気づかないようにしている。
しかし、表に出さないようにすればするほど、シャドウは表に出たがるし、意識のスキをねらって出てくる。
例、 思いがけないような言いまちがえ、やりそこない。 極端な例は、多重人格など。
* シャドウが他の人と重なると・・・・・・
自分のシャドウと同じタイプを表に出している人=自分の劣等機能が主機能になっている人(正反対のタイプの人)を見ると、イライラして「虫の好かないヤツ」と感じてしまう。
じつはそれは、自分の中でイヤな面だと思い込んで無意識におしこめてしまった部分。
* きらいな人とであった時は・・・・・・・
よく考えると、「もう一人の自分」に思いあたるはず。「人のフリみてシャドウがわかる」
- シャドウは、イヤだイヤだときらうほど、自分を苦しめるが、ちゃんと認めれば強い味方にもなる。うまく育ててあげればよい。(ノボル君の「悪い子」の例など)
~ ペルソナ(仮面)~ よそ行きの自分
他人とうまくやっていくために使う、意識の中のある部分。
つまり、時と場合によって使い分ける「仮面」。
例. 職場では、刑事は刑事らしく、上司は上司らしく、教師は教師らしくふるまうことが必要。
いつも仮面をつけ続けそれが本当の自分だと思い込むと、その人の本当の個性は死んでしまうこともある。
例. 教師が家庭に帰ってからも、教師ヅラして家族に指導的・指示的な態度でいる・・・・
自分に合った生き方を
ペルソナを使ったり、シャドウと仲良くして、それを強い味方にしていくことは大切だが、それにはまず、現実の自分を好きになり、自信を持つことが必要。
自信がない → 自分を隠したい → ペルソナやシャドウにのっとられる。
ということになりかねない。
- 自分の「きらい」と思われる性格をもう一度肯定的に考え直してみること。そして「良い・悪い」という価値観にとらわれないこと。長所は短所、短所は長所でもある。
例、 「わたしは消極的で、明るくふるまえないのでダメだわ・・・・」 ×
→ 「人より慎重で考え深く、自分を大切にしてるんだ!」 ○
② 「損・得」と「良い・悪い」をゴッチャにしないこと。
例、 今の世の中、外向的な方がなにかとトクすることが多いかもしれないが、内向的な性格の人がソンだからといって、「悪い人間」というわけではない。消極的なら消極的で、「これが私の個性なんだ」と開き直ることも必要。
- 性格は「良い・悪い」ではなく個性なんだ。うまく付きあう方法を考えよう。
~ ◎?× カン違い ! ~
自分の性格をよく知らないまま、ほかの性格にあこがれて、その人と同じタイプと思い込むことがある。
例、 自分は本当は外向タイプなのだが、大好きな内向型の先輩にあこがれて、その人と同じと思い込んで、いっしょうけんめい難しい話にふけったり、ひととワイワイ騒ぐのを軽べつしたりする。(内向的な態度をとりつづけ、やがて無理がきてしまう。)
例、 自分は内向タイプなのに、外向タイプにあこがれ、味もよく分からないのにグルメを気取ってみたり、音楽雑誌を読みあさって、いっぱしの音楽通を気取ってみたりする。
- 本当の自分のタイプをつかむのは案外むずかしい!
自分の弱点の機能を育てていこうとすることは、決して悪いことではないのだが、それは自分のタイプをしっかりつかんだ上でのこと。
もとの自分のタイプをきらって、または知らないまま、無理に変えようとしたり、反対の性格を育てようとしても、かならず無理がきて、疲れ果て、ノイローゼにおちいってしまったりする。
余 談 「恋は妙薬?」
人は、自分に欠けているものを持っている異性にひかれるもの。
心の中の理想像、女性の元型「アニマ」男性の元型「アニムス」の影響。まったくタイプの違う意外な人に
惹きつけられるのはそのせい。
異性を好きになると、一生懸命その人に合わせようと努める。
その結果、自分の弱点の機能をみがくことができる。
~ 苦手機能の育てる手順 ~
急に反対側の機能を育てようとしても、コントロールがきかず、いきすぎてしまい難しい。
(思考タイプの人が感情機能をいきなり使おうとすると、つい「感情的」になりやすい)
まず、補助機能をうまく使えるようにし、次に補助機能と反対の機能を、そして最後に主機能と正反対の機能を育てるのがよい。
~ ユングの理想的人間像 ~
= 外向的な態度も内向的な態度も身に付け、思考・感覚・感情・直感の4機能がよく発達していて、しかもその人らしい個性が輝いている人間。
But,現実的には不可能!
しかし、いろいろなタイプの人と出会い、つきあい、相手を知ることで自分の未発達な態度や機能がわかり、それを育てていくことが可能になる。
◎自分のもともとの態度・機能の上に新しいものをくわえていくことで、人間としての幅が広がり、バランスのとれた理想像に近づいていく。
→ 「個性化の過程」「自己実現」 = 人の一生の課題
*男性の理想像(元型)「老賢人(オールド・ワイズマン)」女性の理想像「太母(グレート・マザー)」= 深い智恵と優しさを秘め、しかも現実をしっかり見る眼と未来を見通す眼をあわせ持ち、威厳があって神秘的な存在。
身のまわりでこれに近い人がいたら、お手本にして、自分を近づけていくべき。不可能なことではない。なぜならその元型は我々の中にすでに存在している。
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